
中毒ってなに?
どんな物質でも大量に摂取すると有害となりますが、比較的少量の物質(毒物)の摂取によって
病的状態を起こすことを中毒と言います。
少量の毒物を1回摂取し、短時間で症状が見られることを急性中毒と言い、
犬では経口摂取による急性中毒がほとんどです。
ここでは特に家庭における危険な中毒物質についていくつか紹介したいと思います。
<タマネギ中毒>
タマネギ、長ネギ、ニンニクなどに含まれるチオ硫酸化合物が赤血球の膜を酸化してしまいます。
酸化された赤血球は壊れてしまい、おしっこが赤くなり貧血となります。
このチオ硫酸化合物は熱に対しても強く、加熱調理した食品の中にタマネギなどが含まれていても中毒となります。
そのためタマネギそのものの形が見えなくても中毒を起こすので注意が必要です。
中毒を起こしてしまうタマネギの摂取量には個体差がありますが、
体重1kgに対して15~20g以上食べてしまうと危険です。
直径5cmのタマネギの重さがおよそ56~85gであるので、
5kg程度の犬がこのタマネギ1個を全部食べると危険という計算になります。
生だとこんなに食べることはないかもしれませんが、調理されたもの(例えば玉ねぎが入ったスープなど)
であれば意外と食べられてしまう量ではないでしょうか。
<チョコレート中毒>
チョコレートにはテオブロミンやカフェインといったメチルキサンチンと呼ばれる物質が含まれています。
これらを大量に摂取すると嘔吐、下痢、振え、興奮、不整脈、発作などの症状を示し、
場合によってはこん睡へと進行していきます。
含まれるメチルキサンチンの量は製品によって異なりますが、5kgの犬がミルクチョコレートの板チョコ1枚(60g)を摂取すると致死的となります。
ダークチョコレートやココアパウダーはメチルキサンチン含有量が多いため、
少量の摂取でも危険な場合がありますので特に注意してください。
またチョコレートには砂糖や脂肪も大量に含まれているため、胃腸症状を起こし、
時には膵炎を起こすこともあります。
<キシリトール中毒>
糖尿病患者さんのための甘味料やガムなどに含まれる成分です。
人では血糖値を低下させるインスリンの放出作用はありませんが、
犬ではインスリンを放出させる力が強いため、血糖値が急激に低下します。
摂取からだいたい30分で低血糖となり、意識の低下、脱力、こん睡、けいれん、さらには
肝障害を起こす可能性があります。
ある報告では10kgの犬が1gのキシリトールを摂取しても中毒症状が見られたと報告されています。
一般的なキシリトール入りガムには1粒に約0.6gのキシリトールが含まれているため、
目安としては10kgの犬が2粒摂取すると危険な量ということになります。
<ブドウ中毒>
2004年のアメリカの動物保護団体(ASPCA)によって、ブドウを食べたことが原因と思われる中毒に関しての報告がされました。
2003年から2004年にかけて、ブドウを食べた140例において、50頭が何らかの症状を起こし、
そのうち7頭が死亡したというものです。
ブドウを食べた72時間以内に吐き気、下痢、食欲不振、腹痛、元気消失、脱水などの症状が見られ、
数日後には腎不全となり、長期間の治療が必要になる場合や亡くなることもあるそうです。
腎不全となる原因の物質ははっきりとは分かっていません。食べたブドウの種類は様々で、
形状としては生、干しブドウともに中毒症状を起こしたそうです。
どれだけの量を食べると中毒症状を起こすのかははっきりとはしていませんが、
犬の体重1kgに対して生のブドウなら約32g、干しブドウで約11~30g以上と考えられています。
通常私たちが食べている巨峰などは1粒で約15~20gあるので、
特に小型犬ではわずか数粒でも中毒を起こします。
そのため犬にはブドウは与えてはいけません。
<その他>
その他にも殺虫剤や殺鼠剤、ゴキブリ用の殺虫剤、人用の医薬品、化粧品、
植物などによる中毒も見られます。
意外と多いのがお菓子などの袋に入っている乾燥剤を食べてしまうケースです。
袋のまま食べてしまう場合、食いちぎってしまう場合といろいろですが、乾燥剤の種類によっては口の中をやけどする恐れがあるものもあるので注意が必要です。
殺鼠剤やゴキブリ用殺虫剤は対象の動物をおびき寄せるためにおいしい味や香りがつけられていたり、
乾燥剤には一緒に入っていたお菓子のにおいが染み付いていたりと、犬がついつい食べたくなる誘惑がいっぱいです。
これらを扱う場合には十分に注意しなくてはなりません。
たとえゴミ箱に捨てたとしても安全とは限りません。
犬は人間よりも嗅覚が鋭いので、臭いを嗅ぎつけて探し出してしまうということもめずらしくはありません。
中毒を起こしてしまった場合、摂取から1時間以内であれば吐かせる事が可能です。
ただし、摂取した物質によっては吐かせてはいけない場合もあるので、
自宅で判断せずにすぐに動物病院を受診してください。
受診の際には、どれぐらい前に、どのような物質をどれ位摂取してしまったのか、
できればその現物を持参していただけると治療をスムーズに行うことができますので、ぜひ持参してください。
犬には何が食べ物で何が食べ物でないのか、食べると危険なものなのかは分かりません。
また一度チョコレートなどを食べてしまった犬は、甘くておいしかったという記憶が残るため、
積極的に食べるようになってしまいます。
犬を中毒から守るためにも、危険な物質の取り扱いに注意し、
犬の手(口?)の届くところには置かないように気をつけてあげましょう。























